発掘調査で出土した東樋(ひがしひ)の年輪年代測定の結果から、狭山池は7世紀前半の飛鳥時代につくられた日本最古のため池であることがわかりました。第2ゾーンでは長さ約60mにわたって、この飛鳥時代の東樋(国指定重要文化財)と江戸時代の東樋(国指定重要文化財)を展示しています。

 

①飛鳥時代と江戸時代の東樋
 2段ある東樋のうち、下段は狭山池の造られた飛鳥時代の樋管です。コウヤマキの大木をくり貫いた管をつないで造られています。上段は飛鳥時代から約1000年後の江戸時代の樋管です。たくさんの板材を巨大な鉄クギを打って組んでいます。木の表面は、細かなウロコ状や斜行状の模様のように見えるのは、手斧を使って表面を整えたからです。

飛鳥時代の東樋・取水部(国指定重要文化財)
江戸時代の東樋(上段)と飛鳥時代の東樋(下段)(ともに国指定重要文化財)

②朝鮮半島系の土器
 第1ゾーンでとりあげた「敷葉工法(しきはこうほう)」は朝鮮半島から伝えられた土木技術です。大阪府の亀井遺跡(古墳時代)では敷葉工法で造られた巨大な堤が見つかっています。また、すぐ南の城山遺跡(古墳時代)では、亀井遺跡の開発に関わったと考えられる人々の古墳が見つかっており、そこからは多数の朝鮮半島系の土器が出土しました。亀井遺跡の堤に使われた敷葉工法は、彼らが持ち込んだのかもしれません。

大阪府城山遺跡で出土した朝鮮半島系の土器((公財)大阪府文化財センター所蔵)